どのような転職をする時にも『面接』は付きものです。転職の最終難関と言っても良いのが、この『面接』でしょう。そして、看護師の転職でも面接は重要視される傾向にあります。
看護職は仕事上、高いコミュニケーション能力が求められます。医師や多職種、患者さんやそのご家族、ケアマネージャーや転院先のコンシェルジュなど様々な人々との連携が円滑に出来なければ良い医療を提供することは出来ません。その連携を担う場面が多いのが看護師でしょう。
転職時、面接官は短い時間の中でもあなたの人となりやそのコミュニケーション能力を見ようとしています。
しかし、必要以上に怖がる必要はありません!面接の日程が決まったらしっかりと事前準備をしていきましょう。
そこで今回は、看護師が転職する際の面接対策に焦点を当ててお話ししていこうと思います。これから面接を控えている転職者の方、ぜひ参考にしてくださいね。
面接までの準備・心得
面接への対策は準備段階から始まっていると思ってください。
転職先のHPがあれば一度目を通しておきましょう。
何に力を注いでいるのか、大切にしている理念は何なのか、運営されている母体はどこなのか、など面接の際に役立つ情報がたくさん掲載されているはずです。面接時に面接官との話を弾みやすくするためにもここはしっかりと押さえておきたいポイントです。
また、転職先までの道順や所要時間なども入念に調べておき、当日は時間に余裕を持ったスケジュールで行動するようにしましょう。
面接時の持ち物リスト
- 履歴書(志望動機は8割以上埋めて余白が少ないようにします)
- 筆記用具・メモ帳(質問することや業務内容を説明された時などに書き留めておきます)
- 印鑑(看護師の転職の場合、その場で合否が出るケースもあるため、一応持参します)
- 腕時計、ストッキング・靴下の替え、絆創膏(靴ずれ時)、髪ゴムなど((女性であればストッキングが伝線した時の替えや男性であれば靴下の替えを持ちましょう。また普段吐きなれないパンプスや革靴を履くので靴擦れ対策に絆創膏もおすすめです)
身だしなみ
面接は第一印象も非常に重要なポイントです。服装や身だしなみにも気を配るようにしてくださいね。
転職先から特に指定のない場合、色合いの落ち着いた黒やグレーなどのスーツで行きましょう。
女性の場合、スーツに合わせて低めのヒールのパンプスを、男性は革靴を選びます。鞄やバッグは必要書類や持ち物がしっかりと入るものを選びましょう。
ナチュラルメイクを心掛け、髪型はなるべくまとめて清潔感を与えるようにします。ネイルやアクセサリー、香水、直前の喫煙などは控えましょう。
面接の流れ
転職先によっても面接の流れは異なりますが、大まかな流れは下記の通りです。
- お互いの挨拶
- 転職者の自己紹介
- 履歴書をもとに経歴や志望動機を聞かれる
- 転職先の紹介(理念や運営方針、設備や看護師に求める事など)
- 転職者から転職先への逆質問、自己PR
- 転職先の施設案内、見学
となります。
所要時間はトータルで1時間程度といったところでしょうか。緊張はするかと思いますが、焦らずに落ち着いて行動しましょう。
身だしなみに気を付けていても、やはり面接の最重要場面は志望動機や自己PRの場です。
面接での印象を左右する点はいくつかありますが、ここでは印象をアップするポイントと悪くしてしまうポイントをお伝えしてみます。
印象がグッとアップするポイント
- ハキハキと話していて活気がある
- 向上心や新たなことへ学ぼうとする意欲がある
- 前向きな発言が聞かれる
- 転職先の特徴を捉えている
などが挙げられます。
面接官はこれまで多数の人材を見てきています。いくら綺麗な言葉やネットから拾った単語を並べても、面接官には伝わりません。上手く話そうとする必要はないのです、拙くても自分の言葉で思いを伝えましょう。
良い自己PRの例
「これまでICUで5年勤務してきました。日々時間や業務に追われながら仕事をしている感覚になり、患者さんに寄り添った看護が出来ていないのではないかと常に疑問を感じていました。
自分の中での看護観を一度振り返り、やはり患者さんに近い目線での看護がしたいと再確認しました。こちらに採用していただけましたら、これまでの急性期での経験を活かしながら〇〇病棟で患者さんの気持ちを傾聴していきたいと思い志望しました。」
上記のように自分のこれまでの経験やこれからやりたいこと、看護観、向上心を伝えられると、とても良い印象に繋がります。
ただ、積極的な部分を前面に伝えすぎると自己中心的な印象にもなりかねませんので、出来れば面接当日までに家族や転職サイトの人材コーディネーターなどに一度聞いてみてもらうことをおススメします。違った意見が聞けて、良い発見があるかもしれませんよ。
では、印象を悪くしてしまうのはどのような点なのでしょうか?
些細なことで相手の印象はガラリと変わってしまうものですので、注意していきましょう。
印象を悪くしてしまうポイント
- 声が小さい
- 笑顔や愛嬌がない
- 清潔感がない
- 意欲が無さそうに見える
- あまりにも転職回数が多い
などが挙げられます。
声が小さすぎると、相手に聞き取りづらい印象ややる気の無い印象を与えてしまいます。笑顔が見られないことも、患者さん相手にも硬い印象を与えてしまう人なのでは‥?というイメージを持たせてしまいます。
また転職回数が多すぎることもマイナスイメージ。この人自身に何か問題があるのでは‥?我慢強くない人だな‥という印象になりがちです。転職回数が多い人は、志望動機や転職理由について上手く前向きな表現で伝えていくようにしましょう。
悪い自己PRの例
「こちらの病院は自宅から近く、給与面や福利厚生も私が希望する条件と合致しており、とても魅力的だなと感じました。特に希望の科はありませんが、勉強させていただこうと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。」
上記のような自己PRでは自分の事しか考えていない印象になり、あまり良い印象に繋がりません。本当の理由だとしてもオブラートに包みましょう。
また、転職先でのやりたいことや希望の科もなく「勉強させていだく」という受け身な言葉もあまり良くありません。この場合は「勉強していきます!」という積極性をアピールする言葉に変えましょう。
面接でよく質問される事例と回答のポイント
志望動機や自己PRも履歴書を見れば書いてあることでも、実際にあなたの言葉で伝えることが重要です。
どの面接の場でも聞かれやすい質問がありますので、自分の中である程度事前に答えを準備していくことをおススメします。
面接の場でよく聞かれる質問は下記の5つ。回答のポイントと共にひとつずつ見ていきましょう。
1)転職の理由
これはほぼ100%聞かれる質問になるでしょう。
前職場であまり良い思い出がなくても、悪く言わないように心掛けなるべく前向きな表現で話すようにします。
人間関係に悩んで前職場を退職した場合、全てを正直に話す必要はなくこのように伝えましょう。
例えば「前の職場ではなかなか多職種との連携が上手く取れませんでしたが、採用していただけましたら外科領域を一から勉強して、多職種とのコミュニケーションを上手く図りながら頑張りたいと思います」など。
2)看護観
自分が看護師として働く上で大切にしていることやポリシーなどを話しましょう。転職先の理念や方針と重なる部分があるように話せると更に良いと思います。
例えば「笑顔を絶やさないようにしています」「患者さんが安心して療養生活が送れるように支援していくことを第一に考えています」「患者さんの気持ちを傾聴するよう心がけています」など。
3)職務経験、業務経験
どんな病院の何科に何年ほど勤務していたのか、業務内容で得意なことなどを聞かれますのでしっかりと自分の言葉で伝えましょう。
例えば「〇〇科に5年勤務してきました」「採血や点滴は得意な方です」「〇〇科の疾患は多く見てきたのでいち早く対応出来ると思います」など。
またプリセプター経験や学生指導の経験、委員会での活躍実績などの経験があれば伝えましょう。看護研究などの分野での実績があれば、それも加えましょう。
4)採用されたら何を頑張りたいか
目標があって転職する場合は、その目標を伝えます。
具体的な内容を話す方が『しっかりと転職に対してのビジョンを持った人だ』という印象付けにもなりますので、ここもおさえておきたいポイントですね。
例えば「採用していただけましたら、看護研究の〇〇の分野を研究していきたいです」「将来的には看護大学院に進んで看護職の研究をしたいと考えています」など。
5)結婚や出産の可能性
非常にプライベートな部分の話にはなりますが、実際に聞かれることは少なくありません。採用する側としては長期的に働いてほしいと望んでいるので、結婚や出産の予定があるのか、ある場合はどうする考えなのかを聞かれます。
ですので、結婚や出産を予定している転職者はその環境になっても働く意思があることを伝えられると良いでしょう。
実際にその場になってみないと分からない点だとは思いますが、現時点での自分の気持ちは長期的に転職先で働きたいという旨を伝えておきます。
質問はありますか?と聞かれたら····
面接終了時には大抵、面接官から「ご質問はありますか?」と逆質問されます。転職に対しての思いがしっかりとあることを伝えたり、疑問点などを聞ける貴重な機会です。
ここも自己PRの場になりますので、積極的に2,3の質問をしましょう。
逆質問の例をいくつか見てみましょう。
逆質問の例
- 院内研修の機会はありますか?どれくらいの頻度でありますか?
- 入社後は中途採用者でも、プリセプターなどのフォローは付けてもらえますか?
- 採用となった場合、なにか事前に準備しておくことや勉強しておいた方が良いことはありますか?
- HPに記載されていた〇〇〇の件数は月にどれくらいになるのでしょうか?
などです。
こちらからの質問の内容としては基本的に自由です。しかし、HPやネットを調べればすぐに分かることなどはNGと思っておきましょう。「うちのことについて何も調べてきていないのかな····」と面接官に思わせてしまう要因になります。
また、給与や福利厚生について聞きたいときにはいくつか上記のような質問をした後に聞いてみると良いです。転職サイトを利用している方であれば、人材コーディネーターから質問・交渉してもらうようにしましょう。
面接官はどこを見ているのか?
面接官は転職者に対して次のようなポイントを見ています。
- 長期的に働いてくれるか?
- 仕事への姿勢はどうか?
- 他のスタッフと上手く連携が取れそうか?
- 一般的なマナーがあるか?
面接官は短い面接時間の中で上記のようなポイントがあるかどうかを判断します。
なにも会話の中だけで判断しているわけではありません。挨拶の仕方、姿勢、表情、礼儀正しさなど様々な点から総合的に判断し、採用の可否を下します。
面接時の内容はもちろんのこと、マナーや身だしなみ、歩き方などにも注意して面接に臨みましょう。
看護師転職の経験談
私は転職を4回経験してきましたが、何回経験してもやはり面接の場面が一番緊張したなとつくづく思います。
今回お伝えしたよく質問される例は、私の転職経験の中でよく聞かれたポイントです。
実際に面接は4か所以上の職場に行きましたが、病院であっても施設であっても聞かれるポイントはどこも同じだなという印象でした。つまり、面接官が見ているポイントはどの職場であっても、大した相違はないということです。
また逆質問の例も、実際に自分が転職した際にこちらから質問してみた内容です。
面接は事前に準備をして押さえておくポイントをしっかりと押さえていれば、極端に難しい局面ではありません。事前準備に時間をかけて当日を乗り切ってほしいと思います。
「看護師が転職する際の面接対策」まとめ
今回の面接対策、いかがでしたでしょうか?
転職の際に一番緊張するのはもしかしたら面接の場面かもしれませんね。
必要以上に上手く話そうとする必要はありません。自分の思いや良さを一生懸命伝えようとすれば、その姿勢はきっと高評価に繋がります。
面接の場で皆さんが自分らしさをアピール出来るようになることを応援しています。
せっかくここまで頑張ってきた転職活動です。最後の難関を突破して転職を成功させましょう!