看護師の転職

看護師はなぜ転職をするの?転職の理由と実態

投稿日:2020年6月5日 更新日:

看護師の転職理由と実態

『転職』という言葉を聞いてどのようなイメージが湧きますか?堪え性がない、自分をしっかり持っている、などイメージは様々あるでしょう。2006年の政府統計のデータによると50代社会人の平均転職回数は2.85回と出ています。

では非常に転職率が高い、と言われる看護師の場合はどうでしょう?

転職サイト・ナースフルによると、40代看護師の平均転職回数は2.8回という結果が。数字で見るとそこまで多くない印象を受けますが、とはいえ看護師として生涯働く上で少なくとも2回は転職を経験している計算になります。

ということで、今回は『看護師の転職』について、その理由と実態を深く掘り下げてみようと思います。

看護師が転職する理由とは?

看護師が転職する主な理由としてよく挙げられるのが、以下の8つです。しかし、ここで述べる理由はあくまでも職場による、ということを前提に話を進めていきたいと思います。

では、順番に見ていくことにしましょう。
 

看護師の転職の理由
1)夜勤が辛い

病院や老人ホームなどの勤務には昼勤と夜勤があり、昼の勤務と夜の勤務がシフト制でランダムに入ることで身体が上手く休まらない傾向にあります。

中には夜勤専従という夜勤専門で働く看護師もいますが、大抵の看護師は好んで夜勤を希望しません。夜間は職員人数も減り、仮眠時間があると言っても熟睡出来る訳でもなく、就業時間も日中より長くなります。睡魔や長時間労働による疲弊、人員が少ないことによる緊張感。これらと闘いながら朝まで仕事をこなすのははっきり言って辛いものがあります。

しかもその勤務が月に6~9回入ってくる事を考えると····それだけで疲れてしまいます。
 

看護師の転職の理由
2)残業が当たり前になりがち、気が休まらない

病院勤めなどの場合、定時で上がれることは少なく、サービス残業で30分~1時間程度残ることはザラにあります。

またチームワークの仕事の為、自分の仕事が終わっても同僚の仕事を手伝うことが当たり前という古い習慣があり、なかなか帰りづらい雰囲気も。他業種や患者からも時間に関係なく声を掛けられることが多々あり、ナース服という制服を着ている限り、仕事が終わってもなかなか業務から抜け出せない現状があります。

更に、場合によっては就業後も職場から連絡が入り、勤務中の患者の容態について詳しく聞かれる事があるなど気が休まりません。
 

看護師の転職の理由
3)医療事故や人命へ責任が不安

医療現場という特殊な職場で働くということは、自分の一つ一つの行動が患者の命に直結するため、常に人命を預かっているという責任が付きまとうもの。点滴の速度や患者の手術前後の準備、麻薬等の危険物の取り扱いなど気が抜けない場面が多々あります。常時緊張感が走り、時間に追われながら業務を遂行していくのは心身ともにとても疲弊するものです。

また医師などの他業種とのコミュニケーションが必須な為、他者への気遣いも不可欠。緊張感と人命への責任、患者への笑顔での対応、多職種との連携····見えないところでも『看護師として』課せられる事が山のようにあるのです。
 

看護師の転職の理由
4)休みが思うように取れない

休み希望は大抵家庭を持っている世帯が必然的に優先されやすいため、特に独身者は連休や土日祝日に休みを入れることが難しい現状があります。つまり家族や恋人、友達らとスケジュールを合わせにくいということです。

さらに、旅行やイベントなどの日程も何ヶ月先のことは確定事項として決められず、これではプライベートがなかなか充実されません。

病院に勤めている間は身体的にも、精神的にも、時間も仕事へ捧げている感がどうしても否めず、生活の中で仕事がウェイトを占める割合が大きくなりがちです。
 

看護師の転職の理由
5)給料が仕事内容と見合っていない

前述した通り、昼夜関係なくシフト体制であることにより身体を酷使していることや、残業が当たり前にある環境、常に人命を背負っているという緊張····。

これらを考慮しても筆者の経験上、二交代夜勤(16時頃~翌日の9時10時頃までの夜間勤務のことを指します)を月に7回、日中の勤務を夜勤以外の日で働いたとして月の給料は手取りで24~30万円といったところでした。

女性の月収としては他職種よりも多いと思われるかもしれませんが、実際現場で『身を粉にして』働いている看護師にとってこの数字は決して正当な評価による額とはいえないでしょう。

お金は全てではないのかもしれませんが、給料は仕事へのモチベーションにも繋がり、自身への評価の結果とも捉えることができます。実際に給料に不満を持って転職をする看護師は多い為、今後の処遇改善が求められる理由の一つと思われます。


看護師の転職

ここまでの転職理由を見てみると、看護師特有の理由が見えてきたと思います。上記以外にも人間関係などの理由も挙げられますが、ここでは転職理由の上位と思われる事柄をピックアップしてみました。

あくまでも職場によるという前提ではありますが、看護師の素直な本音であると共に、医療現場の過酷さや、身体的・精神的な負荷の大きい仕事であることが表れていると思います。

しかし、転職する理由は何もネガティブな理由だけではありません。前向きにメリットを求めて職場を変えようとする人も沢山います。
 

看護師の転職の理由
6)結婚や出産、育児により働きやすい職場を求めて転職

男性が増えてきた仕事ではあるものの、依然として圧倒的に女性が多いのが看護師の現状です。女性のなり手が多い職業であることからも、ライフステージの変化により働きやすさを求める事例が多くなるのは至極当然のことなのかもしれません。

夜勤が無い日中勤務だけの職場や、シフト制でなくタイムスケジュールが組みやすい職場へ移ることは前向きな理由の一つと言えます。
 

看護師の転職の理由
7)スキルアップや別分野への探求心からの転職

更なる向上心を持って看護師としてステップアップを希望し、転職する人もいます。

今よりも専門的な知識を身につけたい、外科の領域を一から勉強したい、将来的に管理職になりたい、など向上心を持った看護師は少なくありません。
 

看護師の転職の理由
8)看護師以外にやりたい事を見つけた

看護師の転職は何も職場を変えることだけではなく、同じ業種に留まりません。新しい人生へのチャレンジの為に環境を変え、夢を実現させる人もいます。

私の周囲にも、パン屋で働きたくて看護師を辞めた50代の同僚や、職場や働き方を固定しない(ツアーナースや派遣ナースとして働くなど)ことで様々な地域で仕事とプライベートを充実させている人もいました。また、心機一転、薬剤師になる為に大学へ編入し、新たに学生生活を送っている人もいます。
 

私自身の転職経験について

ここで私自身の話をしてみましょう。私はこれまで看護師としての転職を4回程繰り返してきました。

専門的な資格取得の為に働きながら大学へ進学するという目的を持った転職、日々の重労働により精神的に辛くなり心の休息の為に勤務時間の短い職場へと駆け込んだ転職、給料に不満があり年収アップを狙った転職、家庭を持ったことにより仕事とプライベートのワークライフバランスを求めた結果の転職、など理由はその時々で異なりました。

中には一生懸命転職活動をし、やっとの思いで入職した職場の看護方針や人間関係がどうしても自分に合わないと感じ、1年以内に退職した職場もありました。その一方で、今後も働き続けたいと感じた職場をライフステージの変化によって泣く泣く退職せざるを得なかったケースもあります。

 

そういった様々な形の転職をしてきた中で、自分の価値観が少しずつ変化していきました。

今振り返ると、病院だけでしか働いた事のなかった頃は患者一人一人の事まで考えて行動できず、病院側・自分のスケジュール上の都合でしか患者に接していなかったように思います。

自分の時間のゆとりや精神的余裕も無いに等しく、給料はある程度頂いても常にトゲトゲした荒んだ気持ちがあり、その結果、家族や友人にも強く当たってしまう事も。精神的に強くないと看護師としてやっていけない!と思い込んでいた部分もあったかもしれません。

 

しかし、病院を出て自分の立場や求められる業務も変わり、相手に寄り添う事や対話の仕方、大衆に話を聞いてもらうにはどうしたら良いのか、スケジュール通りに進まない仕事への気持ちの切り替え方、乳児や幼児との関わり方など様々な事を経験し学びました。

これは転職をしなければ得られなかった経験、価値観の変化なのでしょう。

1つの職場にだけでは決して関わることのなかった業種や年代の方と関わることができ、現在の働き方では自分の時間のゆとりや精神的余裕を持ち、充実感を感じながら過ごせています。

私が複数回の転職を繰り返して感じたことは、転職の回数が重要なのではなく、転職の理由、つまり「自分が今後どうなりたいのか」「これから何をやっていきたいのか」を明確にすることで転職は自分自身を豊かにするということです。
 
看護師の転職理由と実態
 

転職サイトについて

看護業界は一般的に見ても人材の流動性が非常に高く、転職は当たり前に捉えられる傾向があります。転職の際に看護師が利用することが多いのが看護師専用の転職サイト

看護師専用の転職サイトはグーグルでざっと調べただけでも、簡単に10社以上見つけることができます。

それだけ需要と供給が高い市場である事が見て取れますし、実際に転職サイトを利用して転職する看護師は非常に多いです。

転職サイトを利用すれば転職先候補との詳細なやりとりや、口に出しづらい給料面での交渉等も人材コーディネーターが進めてくれるため、手間が省けるというメリットがあります。また、自分だけで探すよりも幅広い職場環境を提案してくれることもあります。

しかし一方で、自分の看護観や仕事への理念、絶対に譲れない条件などを明確にしておかなければ、人材コーディネーターに提案されるがまま転職し、気が付けば希望とは全く異なる職場になっていたという事もあるので、利用する際には慎重に吟味しましょう。
 

看護師は転職に満足しているの?

2020年1月にWebメディアサービス・CAREEが転職経験のある看護師518名を対象に行った転職の成功率・満足度へのアンケートのデータによると、回答があった462人のうち転職への結果が満足と答えた人は50人(10.8%)、やや満足230人(49.8%)、やや不満146人(31.6%)、不満36人(7.8%)という結果でした。

約6割が転職を成功させ現状にほぼ満足しており、約4割が転職は失敗であった、現状に不満があると感じていることが分かります。こうしてみると看護師の転職は失敗する可能性もなかなかに高いと言えるでしょう。

失敗しない為にはまず複数の転職先候補を調べ、実際に見学してみることです。

ネット上やハローワークからの情報、転職サイトから得られる情報はメリットだけを前面に出していることも少なくありません。自分の目で職場の雰囲気や相手への対応の仕方、上司の考えなどを見て判断しましょう。

そして比較検討するためにも1か所だけでなく、複数の候補先を見ることも重要。何か所も候補先に足を運んだり、履歴書を何枚も書く労力は多忙を極める看護師にとって骨が折れる作業ですが、妥協せずに時間をかけて転職に取り組むことが、結果として満足のいく結果に繋がると思います。
 

「看護師の転職理由と実態」まとめ

ここまで看護師の転職に関する理由と実態についてまとめてきました。

こうしてみると『転職』とは一言で言っても、それに至るまでの経緯や転職後の結果は本当に多種多様。転職は各々の人生の『大きな決断の岐路』であることに違いありません。

転職に際して望むことが全て叶えば良いのですが、そうではない場合も往々にしてあります。岐路の選択に迷い、思い悩むときもあるでしょう。そんな時は、何よりも「自分らしく生きられる」「自分の心が安定できる」と思う働き方を薦めたいと強く思います。

ここに書いていることを参考に、自分が納得できる転職のかたちを見つけてくださいね。

 

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